一万五千を超えるチャットルームです。ユーザー同士が共通の趣味やテーマ(旅行、スポーツ、恋愛、学生生活など)に関して自由におしゃべり(=チャット)できる「場」を提供しているのです。このようなコミュニケーションを機軸としたコンテンツへの展開を引き金として複数のコミュニティを形成しようというのがAOLの究極の目的でした。顧客のコミュニティに対する帰属意識を高めることによって、AOLブランドに対する気持ちのアタッチメントを醸成することができると考えたからです。言い換えれば、サイバー世界でのユーザーあるいは顧客のロイヤルティ、すなわちeロイヤルティを醸成し、顧客の心の中にAOLブランドを焼きつけるというのがAOL流ブランド戦略でした。当然のことながら、AOLもアマゾン・ドットコムやヤフーが行ったように多額の広告宣伝費用を投下してブランドの認知を早期に獲得しようとしています。テレビ、ラジオ、雑誌といったオフライン媒体での広告宣伝も行いましたし、加えてAOLのソフトを搭載した試用ディスク二億五千万枚を無料配布したという逸話は有名です。これはまさに、マスマーケットヘのAOLブランドの浸透を重要視したからこそ行ったことですが、AOLがブランド構築にあたって最も重要と考えたのは、「顧客マインドロイヤルティ醸成メカニズムの構築」でした。同社は顧客のコミュニティへの帰属意識を高めるべく、常に顧客の声を収集して自社の商品・サービスに反映させているといいます。AOLはさらに、二千五百万人を超える全米における既存の顧客基盤を足がかりとして、タイムワーナーという、強力な戦略的パートナーの持つインフラやコンテンツをてこにして顧客基盤をさらに全世界にまで拡大し、かつ顧客との結びつきをより強固なものにしていくことを目指していると考えられます。また、コンテンツを国のユーザー属性に合わせてつくりこみながら世界各国におけるユーザーコミュニティを形成し、グローバルブランドとしての不動の地位を築くこともAOLブランドの第二ステップとしてすでに着手されています。