わたしたちは再会を果たした。明るい日差しの中、レストランのテラスで待っていると、向こうから髪をきらめかせてやってくる女性がいた。ひっつめられていた髪は、また美しく巻かれて肩に広がり、眉も元通りの弓形に戻っている。「お元気でしたか、お久しぶりです」明るい声も以前と変わらない。運ばれてきたミント入りの冷たいチョコレートをおいしそうに飲んで、彼女は笑顔をわたしに向けた。「なんだか少し、メイクが変わった?」すると、はにかんだように笑って、「郷里にいたときは、全然メイクもお手入れもできなくって、すっごく焦っていたんです。このままじゃ、わたし、汚くなっちゃうよって。でも、こっちに戻ってきたら、前はなんだか必死でメイクしていたなあ、という気がして。肩の力が抜けたっていうことかな」メイクは愉しいし、もっときれいになりたいという気持ちは変わらない。けれど自分の人生は、いまここにある。どこか別のところにあるのではない、と気がついたという。メイクで人生変えなくてもいいかな、と。以前より、表情が内側から生き生きと動くその面差しを見て、わたしは思った。彼女はすべてを捨てて、目の前の現実に集中した。それが、この瑞々しく、無駄なものを感じさせないクリアなきれいさをこのひとにもたらしたのだ、と。集中すること。そして、手放すこと。それは日々の中でも、繰り返しわたしたちの日常の中に現れてくる選択だ。どんなにささやかな選択でも、そこから逃げず、向き合っていく。そうすることで、ひとは本来のきれいさをまとうことができるのではないだろうか。以前よりはるかに優しくなった彼女の目元に、なぜかほっとし、心からくつろぐのをわたしは感じていた。