健康になろうとして摂るサプリメントによって、もっと不健康になる……これほど割に合わない話はありません。天然と合成とでは分子の向きが異なると説明しましたが、この光学異性体は、実はダイオキシンやサリドマイドなどに代表され、一方向のものは無害でも、もう一方は猛毒になるという両刃の剣なのです。ますます背筋が寒くなります。ビタミンの場合、天然と合成の性質の違いや合成の毒質については、まだ解明されていない部分が多いのですが、実際に合成のビタミンCやEを大量に摂取すると、下痢をしたり活性酸素の大量発生を招いたりすることはよく知られています。もちろん、天然ビタミンのほうが効果が高いことは、メーカー側も重々承知しているはずです。心ある(?)製造元は、わざわざ「適量以上を摂取すると胃もたれや下痢を起こす」などと懇切ていねいに注意書きをつけ、「合成ビタミンだから気をつけて」と消費者の用い方に注意を促しているところもあるくらいです。では、知っていながら、なぜ市販品のほとんどが合成ビタミンで占められているのでしょう。それはズバリ、製造コストの問題です。合成ビタミンの原材料が石油とするなら、その価格は1kgあたり数十円といったところです。安値安定というわけです。もちろん、わが国の場合、原油はほぼ100%輪入に頼っていますから、OAPEC(アラブ石油輸出国機構)のご意向によって、庶民のガソリン代から暖房費まで、若干の上下はあります。それでも、石油化学コンビナートに運ばれれば細工は簡単、手順は皆同じ。